#100-桜の花

T駅の近くを歩いていた。

桜を愛でようと散歩していたとか、そういうことではなくって。

靴の底を貼り替えてもらうために駅前の靴屋に行き、その帰りにお昼には何を食べようかと思いながら、いつもと違う道を通っただけだ。

私鉄のT駅前は小さなお店が立ち並ぶが、都内のJRの駅前のような混雑の雰囲気はない。

その駅前の線路沿いに並ぶお店の前に、一本の桜の木。

6年もこの街に住み、この店の前を通るのも2,3回目というわけでもない。

なのにこれまで知らなかった。

広くない軒先ぎりぎりに植わっている桜は道路側に枝を伸ばす。

大木ではないが、満開の花を纏って枝を垂らしたその桜は見事だった。

お花見、という名の宴会儀式は好きでないけれど、この1本の桜を眺めて「暖かくなったんだなぁ」と実感。

来年もまたこの桜を観に来よう。

たった1本の桜、スゴい!