巨人のテーブルと劇場
先日、千葉県文化会館で50周年記念のシンポジウムが開催されました。
その中のひとつのコーナー、パネルディスカッションでのこと。
パネルディスカッション「千葉県文化会館の誕生から半世紀~劇場の計画と設計」
コーディネーター:草加叔也〔(有)空間創造研究所代表取締役・千葉県文化振興財団理事〕
パネリスト:
香山壽夫(東京大学名誉教授)
清水裕之(名古屋大学名誉教授)
このお話の中で、「劇場はもともと人が集まるところからスタートした」というお話がありました。
ギリシアの丘のふもとだったり。ローマのコロッセオだったり。
香山先生のお話によると、紀元前まで遡るとアイルランドや英国に巨石群が見られる。建築的には、これも人が集まるところだっただろう、とのこと。
説明のスライドにはアイルランドの巨人のテーブル(ドゥルメン)が登場。
これを聞いた時に、ある自分の中の思いとつながったんです。
2011年、それまで10年ほど行きたい行きたいと思っていたアイルランドに行くことが叶い、3週間ほどアイルランドに滞在してきました。
首都ダブリンでは劇場やコンサートホールに行ったり、街の中を歩いて写真を撮ったり。
その後、アイルランドの南側半分をレンタカーで周り、写真などを撮って回ったり、他の旅行者と何日間か一緒に行動して島に行ってみたり。
もともと舞台「リバーダンス」の影響でアイルランドにとても興味を持ったのが2002年頃。
その舞台を映像化したDVD「リバーダンス LIVE FROM NYC」のオープニング映像に「巨人のテーブル(ドゥルメン)」が出てきます。
これをどうしても自分で見てみたいと思ったんですね。
アイルランドの音楽に興味を持ったのも確かで、「街の中に音楽が溢れてるってどういう感じなんだろう、そんな通りを歩いてみたい」という思いが当時一番強かったんです。
が、どうしてこの巨人のテーブルに興味を持ったのか自分でもよくわかっていませんでした。でもなぜかそこに行きたかった。
アイルランドの西側、クレア県にバレンという岩が非常に多い地域があり、巨人のテーブルはそこに立っているんですね。
石というか、岩というか。
積み上げたものというか、建造物というか。
本当に周りは岩だらけ。石灰岩が広がる不思議な光景。地面に広がる岩自体もとても不思議な形をしているんですね。ところによっては、岩の大地の上に積もった薄い砂の上に生えた緑。
会場では香山先生のお話が続いてました。
「人は、太古の昔から集まる場所を必要としていた」。
なるほど、「このドゥルメンも、昔の人が集まった建築なのかな、劇場の大元なのかな」とかんがえたら、昔、なぜ自分がこのドゥルメンを見たくなったのかが少しわかった気がしたんですね。
無意識に、これも自分が興味ある劇場のひとつだ!と認識したんでしょう。
それは言い過ぎか。
でも、なんとも面白い話を聞けた日でした。
実際に昔の人が集まってるのを見たわけではないので、もしかしたら巨人がほんとにテーブルにしてただけかもしれませんが・・それでも人が集まる場所に変わりはありませんね・・・